ライカのエッセイ

ネット界のハイアマチュアの中でも
「US ARMY」の刻印のあるSWAなど、所有カメラのマニアックさと
モノクロプリントの美しさで知られているla_quさんに
クラシックカメラのエッセイをお願いしました。
第一回目にla_quさんが選んだのはカメラというよりも、伝説の多いレンズ「旧エルマー」
少し苦めのコーヒーでも飲みながらお読み下さい


第一話

第二話

第三話



店内に入って、ショーケースを見ると、さっき出してもらった3本のうちの2本はショーケースに戻っているのに、短鏡胴の1本だけが見当たらない。  僕は急いで店員に聞いてみた。

 「すいません。さっきのエルマー、もう一度見せてもらいたいんですけど、無くなっちゃいました?」

 すると店員は「えっ?あ、ああ、ありますよ・・・。」とカウンターの下から出して来た。

 どうも僕があまりしつこく見ていたものだから、旧かもしれない・・・と気付いたらしい。

 もう一度鏡胴番号を確認した。総てクリア。

 「これ、買います。」

 図らずも1発で旧エルマーを引き当ててしまったのはラッキーだった。
 僕はその後、この旧エルマーの為にDlllも手に入れた。
M型にアダプタでも良かったのだが、やはり旧エルマーにはバルナックを合わせたかった。
写りが違う訳では無い。飽くまで「気分」の問題である。

ライカ エルマー

 それからしばらくは、何処へ行くにも必ず、旧エルマーを着けたDlllを鞄に入れた。
 写りも期待を裏切らないものだった。
 旧エルマーは、もう80年も前のレンズなのに、思いの外良く写る。
しかし、そこにはどことなくレトロで懐かしい雰囲気が漂っていて、望んだ通りの木炭デッサンの様なトーンだ。
 新エルマーを使った事が無い僕には、新エルマーの写りとの違いは判らない。多分巷で言われている様な決定的な違いというのは無いと思う。
 新エルマーでも同じ絵が撮れるかも知れない。
 しかし、「旧エルマーで撮る」という行為は、僕自身の気持ちを鼓舞する。

ワクワクした気持ちの中では感性も鋭くなる。

そういう「気分」が撮る写真に与える影響は、決して小さく無いと思うのだ。

 旧エルマーで撮った写真を眺めつつ、僕はもう一度、あのセピア色のパリの写真を見つめた。
 HOLGAで撮られたセピア色のパリの写真よりは、しっかりした写りだが、懐かしい、デジャ・ヴの様な描写は同様だ。
 僕は、旧エルマーを着けたDlllのファインダーを覗いて、東京の街をパリに変える。
ライカ エルマー

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